故きを温ね(3)本郷

2012年5月19日(土)、本郷三丁目の駅は久しぶりです。
かつて通学に使っていたというより、
4年前、「俳句」誌の鼎談の仕事で、毎月1回、降り立った駅です。

今日は午後、春日のシビックホールに用があって出て来たのですが、
折角だからちょっと足をのばして東大に寄り、青邨先生の句碑を拝もう、
そのあと坂をどれか選んでたらたら下り、春日界隈もうろついてみよう、
という腹づもりです。
春日には、社会人になってから、ほんの少しの間住んだことがあるのです。

実は心の中には、句碑と静かに対峙する図ができていました。
ところが、あろうことか、今日は東大の五月祭初日だったのです。
雑踏をかき分けて奥まで行くのね・・・呼び込みの子どもたち(大学生のことです、もちろん)と目を合わさないようにしないとね・・・それにしても模擬店だらけだねえ・・・あ、蝶!

  雑踏の学園祭を揚羽蝶      正子
  三四郎池の湛ふる青葉闇

青邨句碑は、山上会館という会合とそれに伴う宿泊のための豪壮な建造物の庭にあります。
ここには昔、山上会議所と呼ばれる公民館風の施設があり、
毎月青邨を主宰と仰ぐ「東大ホトトギス句会」が開かれていました。

  銀杏散るまつたゞ中に法科あり  山口青邨

という青邨句碑の隣に、今はもう1つ句碑があります。

  銀杏散る万巻の書の頁より    有馬朗人

触れると、びりっときそうですが、池に抜ける道のべの植え込みはつはつに立っているので、道祖神のようにも見える2つの句碑でした。

春日へは菊坂を辿ることにしました。
下り方としてはもっとも効率が悪い、つまりそれだけ遠回りして下りていくことになります。

宮澤賢治や樋口一葉が一時住んだ所として有名な坂です。
途中から、下道と呼ばれる細い道が派生します。
家1軒分くらいのはばで段差のある2本の道が並行している具合で、
ところどころに設けられた石段で、上り下りできるようになっています。

  下道も上なる道も風薫る   正子

一葉の井戸が残っているのは下道のほう。
道を挟んで敷地いっぱいに家が建ち並び、閉ざされた窓のすぐ内側に人の気配がある住宅街ゆえ、案内板があるどころか、むしろ侵入者として、息をひそめて通らねば失礼にあたりそうです。

  菊坂をすこし迷へる薄暑かな  正子

  
今日の終点は源覚寺の閻魔堂です。
こんにゃくえんまの通称通り、お堂にはこんにゃくが山と積まれています。

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わが家の、いまだ受験生になる覚悟のできていない高校3年生のことをお願いしてしまいましたが、さて御利益はあるでしょうか!?

  閻魔堂まで汗拭いて坂下る  正子

かつて住んだマンションは、そのままの姿で健在でした。
夜遅くに帰るだけの場所でしたので、シャッターの下りた人声の無い通りしか記憶にありませんが、コンビニやコーヒーショップ、遅くまでやっていそうなレストランも出来ていて、今なら夜中も賑やかなことでしょう。

近くの公園の入口に銅像発見。

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春日局ですって。
だから「春日」か・・・と、そんなことも知らずに住んだ街でした。      


                              (髙田正子)
 
                  ♪
                  ♪
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by shinyurikara | 2012-05-21 01:25 | 故きを温ね  

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