故きを温ね(9)祇園御霊会〈3〉貴船川床

2012年7月14日(土)。

前置きが思いのほか長くなりました。
つまり毎年わいわいと楽しんでいるうちに、
同窓会は8回目を迎えていたのでした。

今年の旅は、14日~16日。
2泊もできるようになって、すっかり両手が空いたことを実感します。
17日の巡行前に帰ってしまうことになりますが、
8年の歳月が、当日に到るまでの面白さを教えてくれました。

ただ、今年はあまりに暑いので(身体にこたえるようになってきたので!)、貴船へ納涼(すずみ)に行こうということになりました。

貴船は初めてです。
和泉式部の歌で有名な、蛍の貴船。
むかしむかし、やんごとなきお方が黄の船でこの地に到達なされたことに因み、黄船、貴船となったのだとか。
「きふね」ではなく「きぶね」と濁点をつけて読むこともこの度インプットしました。
人とは無論のこと、その土地ともきちんと向き合う大切さを思います。

出町柳で叡山電車に乗り込み、貴船口で降りますと、いきなり滝のような音に包まれました。
このところの雨で貴船川がかなり増水しているようです。

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  荒梅雨の今朝に及べる貴船川   正子

この時点でかなり涼しくなりました。
バス便もありますが、お喋りをしながら、川に沿って歩いて上って行きます。

歩き始めてすぐ「蛍岩」があります。
和泉式部が〈もの思へば沢の蛍もわが身よりあくがれ出づる魂かとぞ見る〉と詠んだあたりと伝えられています。

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竹煮草の群生。こんな感じの景色を右手に、ゆるゆる歩きます。

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  合歓の花貴船を急ぐ水の音   正子
  凌霄花鞍馬へつづく山の色

向う岸の小さい石に見える岩が「烏帽子岩」。
烏帽子に似ているのではなく、
昔、貴船神社に参拝する大宮人が烏帽子をおろして休息したところだそうです。

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山腹を這い上る木天蓼(またたび)。
車の写真ではありません。
携帯ではズームが効かず撮れませんでしたが、
まん中あたりに山法師の白い花に似て非なるものが、実はあるのです。

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木天蓼の葉は、この時期葉先が白くなります。
関西のメンバーは、山越えをすると大概見られるとおっしゃっていましたが、私は初めてでした。
私と同類の方々は半夏生草をイメージしてください。

そうこうするうちに、料亭銀座に突入。
高そうな、エラそうな、そして涼しそうな川床が見下ろせます。

  濡れてゐる一本道や鴨足草   正子

ですが、私たちの行き先はまだまだ先なのですって。
メンバーの利代子さんお薦めの店は、商売っ気が無くて素朴でリーズナブルというこちらでした。

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鴨川の川床と異なるのは、水面すれすれに坐るところです。
端に見えているのは、床の骨組部分。
水面がこんなにすぐ……。

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  水音に髪の太るよ川床納涼(ゆかすずみ)   正子

往きには気づきませんでしたが、
下流に「本日は増水のため川床は営業いたしません」と貼紙のある店もありました。
そしてこのときは知る由もありませんでしたが、
翌日貴船の住宅街が海原のようになってしまう大雨が降るのです。
のんきに歩いたこの日はまさに恩寵の1日でした。

道草をしすぎ、
貴船神社に参るのは昼ごはんのあと(どころではなく遅く)になりました。
ご神木の桂の木。

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暗いのは天気のせいばかりではないようで。

  万緑のほの明るさに水の神     正子
  灯を置いて日暮の早き川床料理

                                       (髙田正子)

                      ♪
                      ♪
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by shinyurikara | 2012-08-22 21:27 | 故きを温ね  

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