2012年 04月 09日 ( 1 )

 

故きを温ね(1)市川真間

e0268291_15541376.jpg


2012年4月8日、まさをなる空より枝垂れている桜。
花盛りの伏姫桜に、ついにまみえることができました。

まだ見たことがない、という私の愚図愚図したエッセイを読んで、
Mayさんが「今年どうかな?」と企画してくださったのでした。
  愚図愚図はこちら → http://park19.wakwak.com/~haiku575/
                 「耳澄ま」アーカイブ2008年4月の項へ               

寒さで、草木の生育がひと月遅れの今年、桜も予想が難しく、
ならばどちらかには当たるように、と、花祭の日に予定を組みました。

8日は日曜日。
家の用事最優先で、これまでは出ないようにしてきた曜日です。
ですが、ふと見回してみると、子どもたちはそれぞれの用で朝から出かけ、残るは夫のみ。
しかも夫も、その日は午後から出かける用があるというのです。

そんなわけで、めでたく真向かった伏姫桜。
「樹齢四百年」の札は、30年前、初めて来たときと同じようです。
ということは少なく見積もっても430年……、途方もない日月です。

e0268291_15561455.jpg


びっしり花をつけている巨大な老桜と向き合っているうちに、すこしさびしくなりました。

立派に咲いているのです。
ですが、しずかすぎるのです。
ふと、岐阜県根尾の薄墨桜を思い出しました。

  縹いろうすずみいろに桜老ゆ  正子

富安風生の「しだれざくら」の名句は、昭和の初期に詠まれたものです。

     真間、伏姫桜
  まさをなる空よりしだれざくらかな  風生『松籟』昭和15年刊

今より百歳若かった桜がどんな風情であったかは知りませんが、
風生の句は、花の精気を讃えたものだったように、思えてきました。

  湧きいづる花を讃ふる句なりけり  正子

美しさにもいろいろありますが、俳句は時分の花を詠むだけのものではありません。
老桜の見せてくれた花を、しかと心にたたみたいと思います。

今日の私は、おそらく自らの加齢が条件に加わってのことでしょう、
いささかへそ曲がりな感慨にひたってしまいました。

                                     (髙田正子)
[PR]

by shinyurikara | 2012-04-09 16:01 | 故きを温ね