2012年 08月 04日 ( 2 )

 

故きを温ね(7)祇園御霊会〈1〉「両手の会」の同窓会

祇園会の京都を訪ねるようになって、足かけ8年になります。
大阪に住んでいた頃、子どもを連れて一緒に吟行をしていた主婦仲間と、
今では同窓会のように繰り返している年中行事です。

世間はまだ夏休みではありませんから、会うのは7月中旬の土日休日にしています。
祇園会は7月1日から31日までの1か月間続く八坂神社の祭礼で、どの日に何をするかが曜日を問わず決まっています。
ですから、曜日を定めて訪ねると、毎年違った行事が見られることになるのです。

1年目の2005年は、中旬の土日が宵山と山鉾巡行の日にあたりました。
山鉾巡行は祭礼のハイライトですから、人出も最高です。

 
   鉾の稚児涼しく背を正しけり  正子

 
2年目の06年は、海の日の休日が第3月曜になったため、再び巡行を見ました。
この年はこの日までに梅雨が明けず、大雨の中を吟行しました。

   鉾の稚児雨の袂を重ねけり  正子

3年目の07年は、出かける予定の日に台風が来て新幹線が止まりました。
開通を待って翌朝京都へ発ち、その日のうちに戻ってきました。
京都への日帰りは生まれて初めてです。

   月鉾にきのふの雨のなかりけり  正子

4年目の08年は、12日に「鉾の曳き初め」、13日に「稚児社参」を見ました。

   鉾建のひとりは屋根に跳びにけり  正子

このころ私は今の携帯に替えたらしく(以来ずっと使っているということですが)、
フォルダに写真が残っていました。

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蔭のない四条通を八坂神社までついて歩きました。
ゆっくり進むので、ちょいちょいと土産物を物色しながら。
道草した店の涼しかったこと。
見物人はかように気楽ですが、馬上のお稚児さんは、動けないだけでも大変でしょう。

5年目の09年は、 10日に「神輿洗(みこしあらい)」を、11日に「鉾建て(ほこたて)」を見ました。

神輿洗は夜の神事です。
まだ飾りをつけていない神輿を八坂神社から四条大橋に運び、鴨川の水で清めます。

   祇園会の大路を祓ひゆく炎  正子

鉾建ては10日から始まります。
11日に私たちが見たのは、長刀鉾の真木(しんぎ=鉾の中央にそびえる柱)を建てるところでした。
横倒しにしたやぐらに真木を挿し、綱で引いて起こしてゆくのです。
積年の謎が解けた思いがしました。

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   長刀の日を刺す位置に到りけり  正子

6年目の10年は、同じ宿をとって宵山の真夜中に出る南観音山の「暴れ観音」に挑戦する、という予定を、すでに前年会ったときに立てていました。
  
ですが、岐阜の母の具合が思わしくなく、私はぎりぎりになって行き先を変更しました。
俳句とは遠い時間を過ごすつもりでいたところへ、欠席投句を促すメールが届きました。

   宵山の提灯に灯のそろふころ   正子

7年目の11年は、仲間たちが前年の企画をそのまま繰り返してくれました。

   宵山の月夜の道を戻りけり   正子

暴れ観音をこの目で見たことより、
皆で同じ宿へ帰る道すがら、月の光に長く伸びた私たちの影がまるで踊っているようで、
それがまたあまりに変で、心の奥深くに残っています。

そうして迎えた8年目の2012年なのでした。

                                      (髙田正子)

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by shinyurikara | 2012-08-04 17:27 | 故きを温ね  

故きを温ね(6)竹ノ塚

2012年7月7日(土)。七夕。

廣重が描いた江戸の七夕図絵にひかれて、竹ノ塚へやってきました。

東武伊勢崎線のこの駅は、乗り過ごすと次は埼玉、草加になります。
路線図の前で、束の間はるばる感にひたっておりますと、岐阜からいらしたAneさんとばったり。

「おはようございます。はるばる(!)ようこそ~」

朝の雨はあがったようです。
鈍い光の中を、初めての町へ踏み出しました。

それにしても七夕といえば雨。
旧暦の行事を新暦の生活感でとらえているのですから、ひずみがあって当然ですが、
夏なのか秋なのかという、根幹の部分が怪しくなるのが辛いところです。

  七夕の朝約束のやうに雨   正子

駅を西側に出ますと、東岳寺という、たたずまいの美しい寺があります。

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もともとは浅草にあったそうですが、今、廣重はこの地に眠っています。

  廣重の墓へ手ぶらの涼しさよ   正子

しかし墓に真向かうや否や、ぅわんと藪蚊に取り巻かれました。
手ぶらを詫びて早々に退散。
それでも何匹かは連れて出てしまったようでした。

この町には、東岳寺だけでなく、都心から数多くの寺が移ってきています。
関東大震災、東京大空襲、……おそらくそういう機縁で生まれることになったのであろう、寺町と呼ばれる一画もあります。

祀られた魂も、祀られぬままになった魂も漂っているかもしれません。
私は鈍感でしみじみよかったです。

  寺町の青水無月の石畳   正子

それにしても、七夕飾りをとんと見かけぬ1日でした。
幼稚園もありましたが、土曜日でお休み。
たぶん昨日「たなばたさま」を歌って、片づけてしまったのでしょう。

そういえば朝、駅前の昭和風の商店街を抜けるとき、花屋に小さな笹飾りがありました。
ちょうど電話がかかってきたので立ち止まったのですが、
そんなことがなければ見過ごしてしまうほど、可愛らしい笹でした。

  人待つて七夕竹と吹かれたり   正子


                                        (髙田正子)


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by shinyurikara | 2012-08-04 12:05 | 故きを温ね