2013年 05月 23日 ( 1 )

 

故きを温ね(17)日本橋

3月18日(月)、日本橋三越のライオンに初めて会いました。
そう初めてなのです。
これまで、地下から用事のある階まで直行するだけで済ませていましたから。

銀座のライオンくんのようなイメージを抱いて来ましたが、より重々しく、より淋しく……、
と思ったのは、風の強い、春塵が渦をなすような日だったからかもしれません。

近くににんべんの「だしBar」があるというので、今日はそこからスタートすることに。
交差点のはす向かいにある大きなビル(コレド室町)に入ると、すぐに「だし場」と看板があります。
おお、こう書いて「だしBar」ですか! おっしゃれ~。

透き通った黄金色のだしをふうふう啜りながら、ひとりの姐さまに報告しました。

  ご心配をおかけしましたが、次女、おかげさまで決まりました。

  え、決まった!? ほんと! よかったねえ。第1志望?

  そうなんです。驚いたことに! ほんまに何の奇跡か……。

天神さまにも浅草の観音さまにも、実はほかにも祠や鳥居を見るたびに、
お願いしてきた次女の大学受験が終わりました。
しかも、もっとも嬉しいかたちで。
内心、もう1年というやつを覚悟していただけに、
この先どちらを向いて歩けばいいのやらと、立ち尽くす気分でもあります。
もしかして急に綱を解かれた犬や、籠の扉を開け放たれた鳥って、こういう気持ちなのでしょうか!?

とりあえずライオン。次はだし場。と、ひとつひとつ数えるようにして、方向感覚を戻しましょう。

にんべんに隣接して、刃物の「木屋」もビルの中です。
時代の求める形なのだと思いつつも、昔の「御店(おたな)」に漂っていた湿った匂いが懐かしい。
ふるさとの家の、居間や台所に座ったときの空気の感じにすこし似ていた気もして。
もっとも私の場合、ふるさとの家はもうありませんから、よけいにそう思うのでしょう。

さて「日本橋」は町の名前であり橋の名前です。
「町の名+橋」が橋の名となるよくあるパターンと違って、「日本橋」橋とは言わないのですから、単に「日本橋」と言ったとき、町を指すのか、橋を指すのか、それは判断が難しい、などと変なことを考えてしまいました。

  日本橋獅子と麒麟と春塵と   正子

日本橋の柱には青銅製の不思議な生きものが鎮座ましましています。
傍らの説明書きによると、それは獅子と麒麟だそうで、たしかに、あ、なるほど、の顔つきです。

  吹き溜まる春の落葉も潮の香も  正子

それにしても風は一向に収まりません。
吹き飛ばされそう、と言いつつ、飛ばされませんでしたが、
俳句も散り散りなまま、まとまりませんでした。

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そんな中、はっと目をひいたのがこの桜。
小さな交番にかぶさるように、細かな花を震わせていました。

  魁けて交番前のさくらかな   正子

                                     (正子)


                          ♪
                          ♪
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by shinyurikara | 2013-05-23 14:30 | 故きを温ね