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てくてく武蔵野(1)下高井戸~玉川上水跡

このブログは本来、鎌倉あるきに励むために起ち上げたのでしたが、
なんとまあ、また新しい試みが加わってしまいました。
脚は2本しかないのに、どうしましょう。

新しい試みでは、武蔵野を歩き回っていきます。
第1回は4月29日(日)京王線下高井戸駅で下車し、あたりを歩きました。

なぜ29日だったのか、なぜ下高井戸なのか、そもそもなぜこの企画が始まったのか、
などなど、詳しい記録は、私たちのホームページにHeroさんがアップしてくださっています。
→ 新百合AOI倶楽部電子版 http://park19.wakwak.com/~haiku575/

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ここはかつて、玉川上水が滔々と流れていたところ。
今では暗渠となって地をくぐり、地上は公園になっています。

ちょうど八重桜が落花盛んなころあいでした。
流れは姿を消してしまいましたが、どの花も、かつての流れに向かって枝をさしのべているような姿をしています。

  花の枝地中の水を聴くやうに    正子
  地をくぐるかつて落花をうけし水 

今日の句には、暗渠という言葉を使うか使わないか、迷っています。
暗渠と言ってしまえば、明白なのですが。

  地をくぐる水をおもへる遅日かな   正子  

今年は「花を待つ」時間も堪能しましたし、
目黒川では開き行く桜を、鎌倉では山桜を、御嶽行きでは巻戻っていく桜を味わいました。
そして、仕上げは今日の八重桜の飛花落花……贅沢な春でした。

   
                                               (髙田正子)


        
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by shinyurikara | 2012-04-30 22:03 | てくてく武蔵野  

ご近所めぐり(4)オオカミをさがして〈その2〉

4月18日水曜日。晴!
今日の好天をずっと祈っていました。

3月に計画した御嶽山吟行が流れ、それでもそのままにしなかった私たちは、
再トライをひと月後の18日に定めました。
その間護符を貼ったお宅を覗きにうろついたりもして「学習」し、
あとは天気を祈るだけとなっていたのです。

週間天気予報がこれほど気になったのは、修学旅行以来!? 
とまでは大げさな言いようですが、こういうわくわく感は、ことに主婦やリタイア組にとって、
自ら求めなければ絶対に得られないものではないでしょうか。
求めなくても生きていくのに差し障りはありませんから、つい他の用事を優先させたりもしています。

もちろん、何をすればわくわくするかは人によりますが、
我ら俳句詠みは、日常から一歩はずれて俳句を詠む機会があれば事足りるという、
非常に経済的な種族なのです。

当日の詳細はグループのHPで→http://park19.wakwak.com/~haiku575/

下界では散り尽くした風情の桜が、御嶽に近づくにつれ、今を盛りに巻き戻っていきます。

  駅ごとの遅き桜をなつかしみ  正子

  花の下にて単線の時刻待ち

そして山上には、なんとまだ蕾すら整っていない裸木の桜が。

ケーブルの山上駅から御嶽神社へは一本道ですが、山中を縫って進みます。
途中桜ばかりの一角があり、枝先がそろってほの赤くなっているのが、印象的でした。
明日にも花芽が噴き出し始めるのでしょう。不思議な明るさに満ちていました。

  枝先のやつと明るむさくらかな  正子

  
山上に祀られる大口真神には、阿吽の狛犬さんならぬオオカミさんたちが侍っています。
畏れ多くもその美形に、もたもたと携帯を向ける私でした。           (髙田正子)

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by shinyurikara | 2012-04-22 14:36 | ご近所めぐり  

鎌倉あるき(2)実朝の山桜

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2012年4月13日、北鎌倉六国見山(ろっこくけんざん)頂上の山桜。

麓の住宅街から、急な石段をのぼり、さらに坂道をのぼり継ぐと、小さな展望台に出ます。
その最後の数段をのぼりきると、真正面に、この花の頂きがありました。

よいしょ、こらしょ、どっこら……わあ!

と、こんな間合いです。

六国見山は山桜の山ですが、花を見ながら、というより、大樹の幹を見ながらのぼってきていますから、いきなり花の頂きと真向かうことになって、息を呑みました。

展望台から南を見ると、向かいにも花の山。
左手にすこし霞んで光っているのは由比ヶ浜のあたりです(全然それらしく写っていませんが、そうなのです)。

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鎌倉の山桜は、吉野の花を愛でた実朝が移植させたものの末裔と、同行のJuneさんが言っています。
若くして散った実朝ですが、その子孫がこんな形で遺っているのだと思いました。

  実朝のさくらの裔の盛りなり  正子

  実朝の花のふぶける潮かな

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反対側は横浜方面。ベイブリッジが見える……らしいです。

六国見山とは、文字通り六つの国を見られる山の意だそうですが、
「けんざん」の音が、何とはなしに面白いです。

六国は、ここ相模とお隣の武蔵、伊豆、駿河、海を隔てた安房、上総でしょうか。
展望台から海に向かって右手には、首まで霞に浸かった富士山が、
頂きのみを見せていました。

  花びらを六つの国に飛ばすとや  正子

山を下りて仰ぐと、頂上の展望台のあたりは、富士山よりも白いほど。
つい先ほどまで、まさに山桜又山桜の中にいた私たちだったのでした。

                                         (髙田正子)


 
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by shinyurikara | 2012-04-15 16:52 | 鎌倉あるき  

ご近所めぐり(3)オオカミをさがして〈その1〉

4月14日土曜日。花の雨。

「ご近所に御嶽山のオオカミの護符を貼っているお宅があるんですよ。
見に行きませんか?」
とHeroさんからお誘いがありました。

待ち合わせは、小田急多摩センターの駅でした。
ですがどういうわけか、終点の唐木田まで行ってしまった私。

改札を出て、すっこーんと明るい空を見あげ、
  約束の時刻前とはいえ、誰も来ていないなんてへんよ
と思うのと同時に、
  あああ、どうして私は唐木田にいるの!!!?
慌てて一駅とって返したのでした。

いきなり何をしているのかしら。
幸いすぐ出る電車に飛び乗ることができました。
改札を出てしまったのが、返す返すも悔やまれます。

  終点の明るき雨の花を見に    正子

私たちのグループでは、3月に御嶽山吟行を計画していました。
たまたま と ふと が重なり、瓢箪から駒のように出来た計画でしたが、
山上は雪が降るような天候のまま。
「参道の雪かきは済ませたけれどねえ」と言われるに及んで、
仕切り直すことにしたのでした。

  詳細はグループのHPに近日UP→http://park19.wakwak.com/~haiku575/

そんなある日、パルテノン多摩(多摩市落合)へ出かけたHeroさんは、
歴史ミュージアムの特別展で、山王下講中による御嶽山代参の映像を目にされました。
代参講というのは、講の代表者が寺社に参詣し、護符を受けることです。
伊勢講、熊野講などと聞くと江戸の匂いがしますが、
戦前までは日常的に行われていたようです。
このあたりには、御嶽講のほか、大山講もあった模様。

ですが、特別展の映像は昭和のものではありません。
撮影日は、つい去年の秋に、代参が現実に行われたことを告げていました。

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山王下というのは、駅を挟んで反対側の地名です。
その足で見に行かれたHeroさんは、
何軒かの玄関脇に、たしかに護符が掲げられているのを、しかと目に焼き付けられたのでした。

  
川沿いに雨の花吹雪の中を歩き、幹線道路を渡ったところに、その家々はありました。
代々この地に暮らしてこられた佇まいの家屋に狼が一匹ずつ、
いえ、表に三匹、勝手口にも三匹、坐す家もありました。

  花濡れて冷ゆ狼の護符もまた    正子

古民家に貼られたまま遺っているのではなく、現代の空気を吸って生きている護符。
降りつのる花の雨に濡れながら、立ち去りかねる思いの私たちでした。

  花冷や傘傾けてから畳み    正子


                                          (髙田正子)

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by shinyurikara | 2012-04-15 00:33 | ご近所めぐり  

故きを温ね(1)市川真間

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2012年4月8日、まさをなる空より枝垂れている桜。
花盛りの伏姫桜に、ついにまみえることができました。

まだ見たことがない、という私の愚図愚図したエッセイを読んで、
Mayさんが「今年どうかな?」と企画してくださったのでした。
  愚図愚図はこちら → http://park19.wakwak.com/~haiku575/
                 「耳澄ま」アーカイブ2008年4月の項へ               

寒さで、草木の生育がひと月遅れの今年、桜も予想が難しく、
ならばどちらかには当たるように、と、花祭の日に予定を組みました。

8日は日曜日。
家の用事最優先で、これまでは出ないようにしてきた曜日です。
ですが、ふと見回してみると、子どもたちはそれぞれの用で朝から出かけ、残るは夫のみ。
しかも夫も、その日は午後から出かける用があるというのです。

そんなわけで、めでたく真向かった伏姫桜。
「樹齢四百年」の札は、30年前、初めて来たときと同じようです。
ということは少なく見積もっても430年……、途方もない日月です。

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びっしり花をつけている巨大な老桜と向き合っているうちに、すこしさびしくなりました。

立派に咲いているのです。
ですが、しずかすぎるのです。
ふと、岐阜県根尾の薄墨桜を思い出しました。

  縹いろうすずみいろに桜老ゆ  正子

富安風生の「しだれざくら」の名句は、昭和の初期に詠まれたものです。

     真間、伏姫桜
  まさをなる空よりしだれざくらかな  風生『松籟』昭和15年刊

今より百歳若かった桜がどんな風情であったかは知りませんが、
風生の句は、花の精気を讃えたものだったように、思えてきました。

  湧きいづる花を讃ふる句なりけり  正子

美しさにもいろいろありますが、俳句は時分の花を詠むだけのものではありません。
老桜の見せてくれた花を、しかと心にたたみたいと思います。

今日の私は、おそらく自らの加齢が条件に加わってのことでしょう、
いささかへそ曲がりな感慨にひたってしまいました。

                                     (髙田正子)
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by shinyurikara | 2012-04-09 16:01 | 故きを温ね  

ご近所めぐり(2)ちょっと足をのばして

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目黒川の桜。

どこが「ご近所」だ!?
小田急線とは縁もゆかりもないところではないか、と言われてしまいそう。
その理由は最後に。

4月5日、池尻大橋から中目黒を経て、目黒駅まで延々一万歩以上、川沿いの桜並木を歩きました。

池尻大橋をスタートしたのが11時。
途中でお昼をとって、オープンしたての美術館に寄り、目黒まで歩く計画です。

うかうか歩いていたのですが、
「さっそくブログに書く?」と、同行のMayさんに聞かれ、
おお、すっかり忘れておった、ならば写真の1枚なりとも、と、慣れぬ手つきで携帯を操ったのでした。

先週の土曜日は、なかなかの強風。
週が明けて火曜日は、なんと春の嵐。
翌水曜日は、一転快晴、なれど風強し。
そして木曜日の今日もまた。 桜祭の提灯が、風でこんがらかりそうです。

これだけ風の日々が続いたのに、つぼみの桜とは、実に強靱。
今日のあたたかな日差しに、目に見えてほころんでゆきます。

立ち寄ったビストロではお喋りをしすぎたようです。
午後ふたたび花人の流れに加わったときには、すでに満開の風情すら。

  花人の眩しさうなる顔ばかり      正子

 
中目黒を境に、目黒川は随分と表情を変えます。
昔、舟が着いたという場所は、工事中で覆われていましたが、
別の川と合流しているのでしょうか、そこから急に川幅が広くなり、流れもゆるやかになります。

そのあたりにほんの少し、提灯のとぎれる場所がありました。
人も少なく、心なしか花が静かに仰がせてくれる風情でした。

目黒駅近くの雅叙園に落ち着いたころには、皆、脚がまさに棒。

お喋りばかりで句帳を取り出すこともなかったのですが、ここでやはり句会をしておこうということに。
半分眠りそうになりながら(いえ、ほんとうに意識の飛んだ数秒から数分がありました)、むりやり5句。

夕刻、目黒駅へ向かう坂の桜は、やはり風に巻かれつつ、満開となっていました。

  打ち合ひて風のさくらとなりにけり   正子

目黒駅は、私が学生のころ、2年間通学に使っていた駅です。
すでに30年以上昔のことゆえ、面影を探すほうが大変なほど、駅界隈は変わっていました。
それでもときどき「遺物」を発見することもあって。

  さまざまのこと思ひ出す桜かな  芭蕉

電車に乗り込みながら、そんなことを思ったことから、いきなりの定義破りに及んだ次第です。

                                                (髙田正子)


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by shinyurikara | 2012-04-07 20:44 | ご近所めぐり  

ご近所めぐり(1)いつもの場所で俳句

私が俳句をつくるときの「ご近所」とは、小田急線沿線をさします。

更におおざっぱに言うと、
田園都市線沿線は「隣町」の感覚ですが、中央線や京王線の沿線は「あまり知らない町」、
そして東横線沿線は「見知らぬ町」となります。

そのアバウトさで「ご近所めぐり」をいたします。

そうそう、何年か前に寄稿した記事を思い出したのでした。

タイトルは「三つの定点観測地点」。、「俳句文学館」2008年2月号からの転載です。
3つのうち2つが「ご近所」にあたります。

   ・・・ * ・・・ * ・・・ * ・・・ * ・・・

 「草庭」とか「草の庭」と呼びならわしている小庭園がある。
自分の庭でもないのに図々しいことだが、毎月通うようになって、かれこれ二年ほどになる。
それ以前にも訪れているから、通算するとかなりの回数にのぼる。
初めて訪れたのは、まだ学生のときだった、と思う。
最近では一年間有効のパスを作ってスルッと入口を抜けている。
パスには写真が貼ってあるので、車の免許証同様、自分の顔の歴史にもなってしまいそうである。

この庭園は東京都墨田区の向島百花園。
藍生の黒田杏子主宰は、会社にお勤めの頃から、
庭園内の座敷を借り切って「仕事をしたり、昼寝をしたり」していらしたそうだ。
我々藍生の会員が「藍生のメッカ」と囁きあう由縁である。

続けて通い、俳句を作ることを通して、見えてきたものがある。
年々歳々花も同じからず、ということである。
同じ句は二度とできない。
それは、対している自分も同じではないからだとも思うが。 

 向島百花園は有り難く賜った定点であるが、そのほかに二つ、この数年の間に得た定点がある。

 初めからそのつもりで通い始めたわけではない。

 九年間の大阪暮らしを終えて、再び関東圏に戻ったのは、九九年の三月末だった。
幼稚園と小学校の転入手続きや、引越しの荷解きを済ませ、
五月に同世代同地域在住の主婦四名で、新しい句会をキックオフした。
子どもたちが学校等から戻るまでに帰宅したい、
縁あって棲みついたこの地域をもっと知りたい、等の理由から、
沿線のスポットをいくつか選び、吟行を重ねた。

 そうこうするうちに、次月の新たな吟行地候補が挙がらないときに、必ず登場するスポットが出てきた。
それが川崎市多摩区の生田緑地である。

 この緑地には、日本民家園やプラネタリウム、岡本太郎美術館等の有料の施設のほか、
菖蒲園、梅林、また、かつて誰それの櫓があったという史跡もある。
近く藤子不二雄の記念館もできるそうな(注:2011年9月藤子・F・不二雄ミュージアム開館)。
とにかく広く、焦点が絞りにくいが、何でもある所だ。
鶺鴒を乗せたまま、つっと岸を離れた氷が、ゆっくり回る様を見届けたりして、
楽しい思いを重ねさせて貰っている。

 また、この句会は今ではメンバーが十名ほどになっているが、
そのおひとりの紹介で通うようになったのが、座間市の谷戸山公園である。
ここは、里山をすっぽり公園にしたような場所で、生田より人の匂いが濃い。
水鳥の渡ってくる池もあり、
早春、ここで鶯の声を聞くと、肩からすうーっと力が抜け、しみじみ安らいだ気分になる。
生田同様、広くて何でもありだが、
泉から湧き出た水が、ちっちと水ぐるまを回すのを聞きながら、お弁当を開くのが私のお気に入りである。

 この句会では生田と谷戸山を一年交替で定点観測する、そう割り切ったのは実は一昨年末である。
去年は谷戸山へ通った。今年は生田の番である。
一年間お預けにするのもひとつのポイントかもしれない。

そこへ行けば俳句モードがONになる。そんな場所が三つもできてとても幸せである。

   ・・・ * ・・・ * ・・・ * ・・・ * ・・・

もう4年も前に書いたものですが、相も変わらず同じことを続けています。

今年は生田緑地の年。
プラネタリウムが新しくなって、もうすぐオープンします。
一連の改修工事で、なじんだ噴水は無くなりましたが、民家園も梅林も健在です。

                                              (髙田正子)
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by shinyurikara | 2012-04-07 16:36 | ご近所めぐり