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故きを温ね(12)亀岡八幡

10月18日(木)、朝までの雨は出かけるころにはあがりました。
でもまだ限りなくあやしい空模様なので、
携帯用ではなく、さっとさせる長い傘を持っていくことにしました。

日傘もそうですが、畳んであると、ちょっとだからまあいいか、とすぐに横着をする私です。
すっかり色黒になってしまったのは、そのせいかどのせいか……。

待ち合わせの市ヶ谷駅には、遅くもなく、早過ぎもせず到着。
既にお一人お待ちです。

今日の目的地亀岡八幡は、駅を西側に出て北へ。神田川を渡ってすぐのところです。
ここは、今年22周年となった藍生が、なんと1周年を迎えたころに、連衆が寄った場所のようです。
『廣重江戸名所吟行』(小学館)の該当ページに、

  郁子あをき一周年を禱りけり  杏子

という主宰の1句を見つけました。
「初々しいころ」と言ったら、「いや、猛々しいだろ」とどなたかが。
当時の私は大阪暮らし。
今では21歳になってしまった長女も、まだふにゃふにゃしていました。
猛々しい(?)ご一行とは縁無く過ごした日々でした。

急坂を上がらねば御利益は期待できないものなのか、ここの八幡さまの階段も短いながらなかなかです。
途中左手に小さなお稲荷さま。「茶の木稲荷」とは佳き名前です。

  茶の咲いて茶の木稲荷に続く坂   正子

八幡さまには狛犬さんが2対いました。最初に出迎えてくれたのがこちら。

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さっきまで帽子を被っていたようだ、とか、赤塚不二夫のキャラみたいだ、とかみんな好き放題に。
ふと足元を見ると、桜紅葉の落葉。

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仰ぐと他はまだ青々しているのですが、やはり秋も終わりにさしかかっているのです。
ご本殿の前には、一叢薄。

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  金色の雨あがりたり薄の穂   正子

20年前のご一行は、御濠端を四谷のほうへ吟行して行ったようですが、私たちはずっとここで、湧いて出る蚊を払って過ごしました。
温暖化時代の秋の蚊は、それこそ猛々しいのですが、さすがに晩秋ともなると魂が抜けかかっています。

  刺されたり影のやうなる秋の蚊に   正子

でも油断は禁物なのでした。

句会を終えると、もう暗くなりかけていました。
今年のカレンダーもあと2枚半。来年藍生は23周年を迎えます。

  星飛んで一周年を禱りしと   正子


                                        (髙田正子)


                        ♪
                        ♪
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by shinyurikara | 2012-10-19 15:04 | 故きを温ね  

てくてく武蔵野(4)大利根

9月21日(金)、神奈川に住む者としては、果てしなく遠くまで行くことになりました。
利根川の堤に突き当たるまで北上するのです。利根川を超えると群馬県。上州です。

などと言っても今では湘南新宿ラインという便利な路線もあり、快速ならば久喜まで新宿からたったの5駅目、
およそ50分です。

赤羽を過ぎ、大宮を越えると車両は貸し切りに近くなりました。窓の外は刈り入れを待つ稲田です。
北上するにつれ、窓の外が広くなっていきます。

  稔田を行くころ列車空きにけり   正子

久喜で東武伊勢崎線に乗換えて20分。5駅目の羽生が今日の集合場所です。
幹事のHEROさんは先に到着してタクシーを手配してくださっていました。

いつも手厚く準備してくださるHEROさんですが、今回は殊にめざましい活躍ぶりでした。

昭和6年9月9日、武蔵野探勝の虚子ご一行は長老「川島奇北」の屋敷を訪れています。
広大なお屋敷だったようですが、今は無く、虚子自らが書いた吟行記に「邸は埼玉県北埼玉郡須加村」「東武電車伊勢崎行きで羽生駅で降り、待合せて居てくれた自動車に分乗して向かった」とあるのを頼りに、およその場所を割り出して菩提寺を突き止め、さらに菩提寺「長光寺」のご住職を訪ねる約束までとりつけてくださったのです。

タクシーに分乗して稲田を抜け、最後の角を曲がると参道です。
真新しい大きな石灯籠がずらり。
思わず声を上げると、運転手氏が「この前の地震で全部やられたんですわ」。
辣腕の和尚さまのようです。

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山門の内側から外を見たところ。

命日が3日後の24日だという奇北の墓にも参らせていただきました。
HEROさんが手ずから育てたサルビアもお供えして。供花の写真はこちら。
→KUMIの句日記
http://blog.goo.ne.jp/hamakumi151617/e/35e6706f79ca1c47895ae63404f753b3

墓のすぐ後ろが利根川の堤です。

  大利根に秋風を聴く忌日かな   正子

上流に雨が降らず水不足を言われていますが、それでいてこの川幅です。
板東太郎の常のお貌を拝しに、出直して来なければ。

  草刈りし後きちきちのまづ戻る  正子
  さまざまに鳴き重なりて邯鄲も

帰路、駅までの道すがら、先行のタクシーが急に脇道に入っていきました。
後に続きますと、大きな空き地の傍らで停車しました。空き地には柿の一木、奥に白壁の土蔵が見えます。
ああ、ここが「奇北邸」だったところなのでした。

  すぐそこといふ秋風のかなたかな   正子

今回、HEROさんの「句集を差し上げるように」という命には、もう7年も前のだから、と言いつつ抗いきれず、
『花実』(ふらんす堂)をお持ちしました。
「ちょっと待って。ちょうど出来てきたものが」と頂戴したのがこちら。

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『随流去(ずいりゅうこ)』(MOKU出版)2012年10月刊

和尚さまの出来たての御本と物々交換と相成りました。九拝。

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by shinyurikara | 2012-10-01 16:25 | てくてく武蔵野