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故きを温ね(15)霞ヶ関

2月11日(月)建国記念日。
休日の霞ヶ関へやってきました。

私は東京メトロ千代田線で参りましたが、霞ヶ関駅で降りたのはほんの数名。
地下道を歩く人もほとんどいません。

3Aの出口から出ると、「霞が関跡」という標柱がありました。

  「跡」って?

傍らの解説によりますと、昔々関所があり、雲や霞の向こうに景色を眺めることができたので、この名がついたのだそうです。ただ、確かなのは武蔵野国にあったことだけで諸説があり、ここだと確定しているわけではなさそうです。『江戸名所図絵』の「桜田御門の南、黒田家と浅野家の間の坂をいふ」云々に従うと、ここらあたりになるようですが。

物心がついて以来、霞が関=中央官公庁街以外に考えたこともありませんでしたが、
いたずらに関の名がついていたわけでもなかったのでした。

  関ありしあたりを深く霞むなり   正子

歌川廣重の描いた「霞がせ紀」には、海が見え、凧がいくつも揚がっています。
今はもちろん海も遠くなっていますが、見えるのはビルばかり。凧などあり得ません。

  海つ方とふ春の空まぶしみぬ   正子

今から20年ほど前、「藍生」の連衆が吟行企画でここを訪れています。
記録をひもときますと、当時はお濠に黒鳥がつがいで棲みついていたようです。

  鴨翔ちて黒鳥のまた相寄れる  黒田杏子

という主宰の句もあります。
さすがにそのときの黒鳥はもういないでしょう。
が、子孫に期待してお濠を覗いてみることにしました。

それにしても皇居は広い。行けども行けども景色が変わりません。

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お濠は静かでした。
鴨の姿も、さがしてやっと数羽。

  雲に入りしや白鳥も黒鳥も  正子

いささか邪道ながら、「鳥雲に入る」のつもり。
もっとも、かつての黒鳥しかり、お濠の水鳥は帰らないそうですが。

日比谷公園に入ると、奥へ進むにつれ、
東京中の雀が集まってきているのではないかと思えるほどの雀に遭遇。
雀だけではありません。鵯も椋も、鴉も鳩も。みんなつややかで、のびのびしています。
片足のない鳩ですら、そそけた羽根をしていません。
ただ、人の食べ物を拾い食いして肥っているようでもあり、生活習慣病が心配です。

風もなく、うらうらとした天気に、噴水のあたりで思わず寝入りそうになっていますと、女子高生の、

  きゃあ~、なんでこんなに雀がいるのぉ

という声が。
本当だ。ベンチの後ろのヒマラヤ杉の下枝に、鈴生りと言いましょうか、むずがゆいほど雀が生っています。

立ちすくんでおりますと、雀らは次々に地を覆う蔦の葉の上に。
あまりに多くて、おしくらまんじゅうをしているように見えるのですが、
するりするりと蔦の下にもぐっていってもいるのです。

あ、中から椋が飛び出しました。ホバリングした後、再び中へ。
んーー、ちょっとめくってみてもいいでしょうか……。

  逃水を追うて雀のお宿まで   正子

いつぞやの亀のように、またしても写真を撮りそこねました。
しかたないですね、雀のお宿ですから、。
                                      (正子)

                     ♪
                     ♪
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by shinyurikara | 2013-02-18 11:48 | 故きを温ね  

てくてく武蔵野(5)浜町から浅草へ

1月23日(水)。
『武蔵野探勝』をたどる会の初吟行です。

都営新宿線の浜町駅改札を出ると、

  おや、早いですね

と言いたそうな顔つきのHeroさんが立っていました。
以前浦安へ行ったとき、私は乗り継ぎに失敗して5分遅刻したのです。
でもその次に川越へ行ったときには30分前に着いて、珍しくHeroさんより早かったし、
遅刻は今のところその1回だけ(のはず)なのですけどね……。

今日の予定は、浜町公園から両国を経由して浅草まで。
最近参加人数が増えて、ファミレスに飛びこみで句会をするわけにはいかなくなってきました。
句会場を確保できたのが浅草なので、少しばかり長めの道中が予定されています。

3名ほどが時刻になっても現れないので、もしかすると、と公園方面への階段を上りますと――、

  あ、やっぱりみんな、中にいたんだな
  僕たち、寒いところで待っていたのに

その割ににこにこしているのは、通りかかった焼藷屋さんで「買物」をしたというYamaさんです。

Yamaさんは現役のビジネスマンです。
会社には休暇届を出して今日はれっきとした休日なのですが、
急な電話が入っても対応できるようにと、背広にネクタイの(吟行らしからぬ)お姿でのご参加です。

  初句会仕事を抜けて来た男   正子

ビルになってしまった明治座をちらりと見て、浜町公園へ。
入口すぐの広場では、なんと凧揚の真っ最中です。
80年前、虚子ご一行がやって来たときにも、「放心するほど」「夥しい凧」が揚がっていたと、
吟行録にあります。

〈字凧、絵凧、奴凧、鳶凧、虻凧、蟬凧、飛行機凧、こんな色々の凧がひよろひよろと揚り、飈々と揚り、翩翻と揚り、ふらふらと傾き、ぐるぐると廻転し、ペカペカとひるがへり、糸は縦横に空をわたり頭上を掠め、顔の前を横ぎり、子供等は駆けり、転び、寝そべり、男の子も居れば、女の子も居り、大人も居れば、相撲取も居り、そしてみんな凧に関心をもつてゐるのだ。(山口青邨)〉

凧揚なら浜町公園という伝統ができてしまったのかも。

  集まつてきていろいろの凧(いかのぼり)  正子
  子どもらに大川端の凧日和

今日来ていたのは、どこかの幼稚園の子どもたちでした。
ビニル袋に紐をつけた凧から、竹ひごの骨に和紙を貼って絵を描いた凧まで、全部手作りです。
糸がこんがらがってしまったり、芽吹き始めた枝にひっかかったり、
あたりは蜂の巣をつついたような音に満ち満ちていました。

  いかのぼり貸しておくれよとも言へず  正子   
  揚げなほす凧に救急絆創膏   
  子どもらの手作り凧の空低し

ゆるやかな空気の中を墨東へ渡り、両国へ。
ふっと佳き香りがすると、お相撲さんが近くを歩いていて、よそ者の私たちはその都度どきどきするのですが、
町の人たちは皆、当たり前の顔をしている不思議な空間。

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ゆっくりしたいところですが、タクシーに分乗して浅草へワープ。
浅草には先週の雪がまだたっぷり残っていました。

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  え、うそ、雪!? 

と、すぐに蹴りに行ったのは、湘南にお住まいのSatoさん。
お宅の近くには、かけらも残っていないのですって。
そういえば、ここより少し南というだけですが、浜町にも雪はありませんでした。

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句会を終えてもう一度戻ったら、ライトアップされていました。
昼間の浅草寺しか知らなかったな。
夜の観音さまに、もう一度わが家の受験生をお願いして、帰ることに致しましょう。

                                                (正子)

                        ♪
                        ♪
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by shinyurikara | 2013-02-17 19:20 | てくてく武蔵野