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てくてく武蔵野(6)六郷堤

5月25日(土)、川崎の読売カルチャーの方々と、六郷の堤まで歩きました。

  堤まで葉桜の空仰ぎつつ   正子

この講座は、私が新人賞をいただいた年の10月に開講し、すでに7年目となります。
去年6周年を記念して合同句集を作りました。
メンバーの半分がここで初めて俳句を始めた方々ですから、記念碑的なものとなるように、あれこれ知恵を絞り合い、ささやかながら愉しい一集ができました。

刊行後すぐに40歳と80歳の新メンバーを迎え、
更におひとりの方のご主人さまが病床から投句をなさるようになり、
ますます「面白い」会となりました。
俳人と呼ばれる人たちで囲む句座とは、当然趣が異なりますが、
なんとも言えないコクがあって旨いのです。

六郷というのは東京側の地名ですから、
行ったのは、正確にはその向かい、川崎側の堤までです。
かつては川崎駅から川崎大師まで、真夏の堤をノンストップで歩き通したメンバーですが、このところ不調続きの方もおられ、ならばと、近場も近場、普通に歩けば10分ほどの堤を目的地に定めたのでした。

25日は、昼に向かってだんだん晴れていきましたが、気温はさほど上がらす、涼しい風の吹き渡る、絶好の吟行日和となりました。

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堤からJRの鉄橋(海のほう)を見るとこんな感じです。
川は大きく蛇行しています。
鉄橋の右側すぐに川崎駅があります。川を渡ると東京都です。

  対岸に武州を臨む涼しさよ   正子

実はここは、3月20日(水、春分の日)、
新百合のメンバーと一緒に訪れた場所でもあります。
そのときは『武蔵野探勝』の記事に則り、80年を遡る当時「安田運動場」と呼ばれていたあたり(ここよりかなり上流)を、例によってHeroさんが割り出してくださり、うろうろしたのでした。

  見えてゐて春の堤のなほ遠し   正子

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                                        ▲3月の河原から

その日は暑いくらいの陽気で、市街のビルが、霞だか花粉だかに煙っていました。

  川崎にビルの霞める河原かな   正子  
  高空は風強からむ揚雲雀   

そうそう久しぶりに雲雀も見たのでした。 
なんと、すーっと落ちてきて、送電線にちょんと止まったのです。
何かに止まった雲雀なんて、初めて見ました。

体感的には3月のあの日のほうが、5月の今日より暑いくらいでした。
まあ、さすがにそんなことはないのでしょうけれども。

  葉桜の道をゆるゆる戻られよ   正子

準備のため、お昼をとる皆さんと別れて一足先に戻りましたが、
なんとそこへ「1日体験」希望の方が現れました。
ひゃ~、あぶないあぶない! お待たせしてしまうところでした。

句会は生きものです。
初学ベテランを問わず、新しいひとを迎えると空気が変わります。
居心地良く、且つ刺激的に。
まず私自身がたのしむをモットーに、さて次は何をしましょうか。
                                           (正子)


                          ♪
                          ♪
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by shinyurikara | 2013-05-25 23:58 | てくてく武蔵野  

故きを温ね(17)日本橋

3月18日(月)、日本橋三越のライオンに初めて会いました。
そう初めてなのです。
これまで、地下から用事のある階まで直行するだけで済ませていましたから。

銀座のライオンくんのようなイメージを抱いて来ましたが、より重々しく、より淋しく……、
と思ったのは、風の強い、春塵が渦をなすような日だったからかもしれません。

近くににんべんの「だしBar」があるというので、今日はそこからスタートすることに。
交差点のはす向かいにある大きなビル(コレド室町)に入ると、すぐに「だし場」と看板があります。
おお、こう書いて「だしBar」ですか! おっしゃれ~。

透き通った黄金色のだしをふうふう啜りながら、ひとりの姐さまに報告しました。

  ご心配をおかけしましたが、次女、おかげさまで決まりました。

  え、決まった!? ほんと! よかったねえ。第1志望?

  そうなんです。驚いたことに! ほんまに何の奇跡か……。

天神さまにも浅草の観音さまにも、実はほかにも祠や鳥居を見るたびに、
お願いしてきた次女の大学受験が終わりました。
しかも、もっとも嬉しいかたちで。
内心、もう1年というやつを覚悟していただけに、
この先どちらを向いて歩けばいいのやらと、立ち尽くす気分でもあります。
もしかして急に綱を解かれた犬や、籠の扉を開け放たれた鳥って、こういう気持ちなのでしょうか!?

とりあえずライオン。次はだし場。と、ひとつひとつ数えるようにして、方向感覚を戻しましょう。

にんべんに隣接して、刃物の「木屋」もビルの中です。
時代の求める形なのだと思いつつも、昔の「御店(おたな)」に漂っていた湿った匂いが懐かしい。
ふるさとの家の、居間や台所に座ったときの空気の感じにすこし似ていた気もして。
もっとも私の場合、ふるさとの家はもうありませんから、よけいにそう思うのでしょう。

さて「日本橋」は町の名前であり橋の名前です。
「町の名+橋」が橋の名となるよくあるパターンと違って、「日本橋」橋とは言わないのですから、単に「日本橋」と言ったとき、町を指すのか、橋を指すのか、それは判断が難しい、などと変なことを考えてしまいました。

  日本橋獅子と麒麟と春塵と   正子

日本橋の柱には青銅製の不思議な生きものが鎮座ましましています。
傍らの説明書きによると、それは獅子と麒麟だそうで、たしかに、あ、なるほど、の顔つきです。

  吹き溜まる春の落葉も潮の香も  正子

それにしても風は一向に収まりません。
吹き飛ばされそう、と言いつつ、飛ばされませんでしたが、
俳句も散り散りなまま、まとまりませんでした。

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そんな中、はっと目をひいたのがこの桜。
小さな交番にかぶさるように、細かな花を震わせていました。

  魁けて交番前のさくらかな   正子

                                     (正子)


                          ♪
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by shinyurikara | 2013-05-23 14:30 | 故きを温ね