<   2013年 08月 ( 4 )   > この月の画像一覧

 

てくてく武蔵野(8)鶴ヶ峰

8月21日(水)。
粘りつく暑さの中、11名ものメンバーが時刻通りに集合。
相鉄線鶴ヶ峰駅は、自動車教習所で有名(?)な二俣川の隣駅です。

  相鉄線、初めて乗ったよ
  二俣川って遠い所だと思っていたのに、こんなに近くて驚いた

沿線の方々に叱られそうなことを口々に、みんな朝から元気です。
そういう私も、家の者から、

  そこ武蔵野なの?

と言われて出て来ましたが、かの『武蔵野探勝』に該当回を担当した赤星水竹居も、

「武蔵野探勝と云っても、此頃は……云はば関八州を横行して探勝することになったが、……」(畠山重忠公霊堂 昭和9年8月5日)

と記しています。
水竹居記すところの「相模の盆地」を、今日は鎌倉の昔を偲びつつ歩くのです。

それにしても一歩一歩に道が溶けそう。
昨日より気温が下がると予報が出ていたはずなのに。

 ↓幹事のHeroさんが探してくださった地図

http://www.city.yokohama.lg.jp/asahi/madoguchi/chishin/chikatsu/pdf/asahisanpo3-1.pdf

標だけになった「首洗い井戸」「鎧の渡し」を通過し、「首塚」に手を合わせ、
「さかさ矢竹」では吹き上がってくる川風に少しだけ涼んで、またとぼとぼと歩きます。

ぴくりともしない蒸し暑い空気にとうとう音を上げ、
ちょうど見えてきたコミュニティハウスで休ませていただくことに。
道を逸れて下っていくと、

  プールがあるぞ
  幼稚園のプールかな
  あ、おとなもいる

おじさんが、見えたものをいちいち言葉にするのは、どうしたわけでしょう。
私は、自分が子どもだったころや、自分の子が幼かったころのことを思い出しましたけれど。

  プールよりプールサイドのママが好き   正子

そして到った「薬王寺」。
ここには六ツ塚と呼ばれる6つの土饅頭があります。
畠山重忠公と付き随った130余騎が葬られているそうです。
境内に大きな塚が1つと小ぶりな塚が2つ、小径を隔てた木立の中に3つ、
……6つの塚は肩を寄せ合っているのかと思っていましたがそうでもなく、
また土饅頭そのものは、

  六塚や皆夏草の土饅頭   水竹居

と詠まれた昭和9年当時と、おそらくは同じさまであろうと思われました。

ここから句会場となる「白根地区センター」までが、またうねうねと遠いのですが、
ときどきいちめんの葛の葉に少し風が立ってくることもあって……。

  街道をずんずん逸れてさやけしや   正子

たどり着いたセンターは下手に「白糸の滝」があり、それが虚子たちが「ポトポト歩い」て向かった「不動滝」であろうとHeroさんが言います。
奇しくも私たちは必然があって歩いてしまいましたが、
虚子ご一行の句会場は薬王寺だったのですから、

  滝を見て帰り路のこと思ひけり  拓水
  倒れずによくも歩きぬ暑き道    虚子

とは、まことにむべなるかな。

「滝と云つてもホンの名ばかりで、横幅は少し広いが、つまり一間半位の高さの崖を水がすべり落ちるまでのことで誠に他愛もなき眺めであった」(水竹居)

と記された滝。
80年経った今はどうなっているでしょう。

道を渡ると水音が急に近づいてきます。
「滝音」ではないなあと思いつつも、茹だった耳には十分に心地良く、足が速まります。

e0268291_1602086.jpg


  水音のやや涼しきを滝と呼び   正子

80年前には「学生達が沢山来てキャムプをしてゐた」り、「滝水に打たれに来たり滝前のお堂に籠りに来たりする人が絶間なき模様であつた」といいます。
愛され方は昔とは違うかもしれませんが、土地の人が大切に「滝」と呼ぶ水に合掌。

帰りがけにもう一度覗いてみたら、なんと翡翠が!
枝から水際へ、さらに滝の上へ跳んでしばらく佇み、森の奥へ飛び去りました。

e0268291_1604193.jpg



あらら、違うモードで撮ってしまったようです。
さっきまでこの隙間に翡翠がいました。
やっぱりありがたき滝なのでした。                  (高田正子)

                         ♪
                         ♪
[PR]

by shinyurikara | 2013-08-23 16:09 | てくてく武蔵野  

故きを温ね(20)雑草園〈3〉

玄関をあがると小さなホールがあって、左右に廊下が延びています。
右手は10畳の書斎、

e0268291_053783.jpg


左手が台所、風呂場です。

e0268291_063277.jpg


書斎であった和室には、ぎっしりと「夏草」の並ぶ棚や、庭に落ちてきた弾筒を花入れにしたもの、ドライフラワーとなった紅の花、……。

そしてこれはもしかすると、『雑草園』第1ページ、3句目の

  かぶさりて火を吹きをるよ大火鉢

なのでは!? (と勝手に決めて騒いできた火鉢)

e0268291_071071.jpg


からくりのような、こんな細工物もありました。
最初はこう。

e0268291_075947.jpg


へ~んしん!

e0268291_084810.jpg


決して若くない女4人組でしたが、何か見つけては騒ぐので、

  今日は賑やかでいいねえ

と喜ばれたのか、呆れられたのか……。

杉並区にあったころ、雑草園は2区画を占め、1区画分を庭にあてていたそうです。移築されたのちは、家屋はもとのまま、庭も窓から見える範囲の、敷石などはそのまま再現したそうですが、面積はかなり縮小された、とご自身も「樹氷」に属する俳人でいらっしゃる、雑草園守の男性が教えてくださいました。

e0268291_092995.jpg
e0268291_0102382.jpg


青邨先生の目にもこう映っていたということですね。

鳥の餌台や、

e0268291_0112682.jpg


こんな可愛いものも。

e0268291_0115686.jpg


雪の季節にはすべてが雪に埋もれ、家屋も雪の残る3月までは閉ざされるのだそうです。

  雪国へ付き随へる蟇   正子

初めての松島。
初めての雑草園。
初めての「後泊」付き、2泊3日の旅でした。                 (高田正子) 

                        ♪
                        ♪
[PR]

by shinyurikara | 2013-08-19 00:27 | 故きを温ね  

故きを温ね(19)雑草園〈2〉道すがら

雑草園の朝は10時から

と聞き、6月10日(月)は9時にロビーで待ち合わせ、ゆるゆる歩いて向かいました。

どこへも新幹線で行けるようになり、便利で快適です。
が、どこで降りても駅前の雰囲気が似ています。
知らない街でも知っている街のようで、間違えて降りてもしばらく気づかないかも……。

そんなことを思いながら3分ほどで「駅前」ではなくなり、さらに行くと立派な神社が現れました。
諏訪神社、とあります。

何も知らずに訪れてしまいましたが、実はここは長野の諏訪大社ゆかりの「パワースポット」なのだそうです。
門前の商店街は、この日この時刻にはまだ目覚め前で、アーケードにはがらんどうの雰囲気すら漂っていましたが、たとえば7月14日には「きゅうり天王さん」の祭があって、大賑わいするといいます。
ためしにググってみたら、別人(?)のような写真が出て来ました。

  北国のきうり旨しよ来てもみよ   正子

さらに驚いたことには、諏訪神社の末社の1つが八坂神社で、
「きゅうり天王(=牛頭天王)」さんの祭とは、本来八坂神社の祭なのだとか。

「驚いた」のは、単に来月(八坂神社の夏祭である)祇園祭の京都へ行くという、偶発的個人的な事情によるものではありますが、ふいに思い出されたのが、

  だあれも見とらん思ったらあかん。天の神さまはお見通しや

と子どものころに言い含められた母の言葉です。
天網とは、やおよろずの神々の情報網なのかもしれません。

  六月の空あをし叱られし日も   正子

詩歌文学館は詩歌の森という広大な公園の中にあります。
北上駅のほうからアクセスすると、この公園に南東角から足を踏み入れることになりますが、そこから広場を斜めに突っ切ったところに「雑草園」があります。
駐車場を隔てて向かい側が文学館のエントランスです。

着いたのは10時少し前で、
ちょうど2代目雑草園守の男性が雨戸を開けていらっしゃいました。

e0268291_18162100.jpg


  急いで開けますから、どうぞどうぞ

というお言葉に甘え、私たちはさっさと上がり込みましたが、
写真の後ろ姿の女性はいらっしゃいませんでしたね……。
昼頃まで、雑草園を独占していましたもの。

e0268291_18164072.jpg


私たち、とうとう来ることができたのですね。        (高田正子)

                       ♪
                       ♪


  
[PR]

by shinyurikara | 2013-08-18 18:20 | 故きを温ね  

故きを温ね(18)雑草園〈1〉北上へ

これまで幾度も耳にし、昨今ではしばしば文字にもしてきた「雑草園」。
2013年6月10日(月)、ついにその敷居を跨ぐことができました。

「雑草園」は、山口青邨先生が慈しまれた杉並区和田本町にあったお住まいのことです。
ご逝去ののち、北上市の日本現代詩歌文学館に移築復元されました。

『雑草園』はまた、先生の第一句集のタイトルでもあります。
新百合AOI倶楽部の分科会活動の1つとして、私たちは2012年春、ブログ「青邨に学ぶ」(http://zassoen24.exblog.jp/)を起ち上げ、『雑草園』の作品鑑賞を始めました(現在は第二句集の『雪国』を鑑賞中)。 

家の中の雰囲気、庭のレイアウトを、こんなんかな、あんなんかなと想像するうちに、

  やはり実物を見てみないと!
  たとえ今は住んでいる人がいなくても……

と思いが募ってゆきました。

そしてチャンスはやってきました。
藍生の全国大会が、今年は松島で開かれたのです。
実は松島行も(恥ずかしながら)私は初めてで、願いが一度に2つかなえられる旅となりました。

6月8日、9日の大会終了後、松島から仙台へ出、北へ行く新幹線に乗り換えて、北上へ。

  夕星やみちのおくへと青田波   正子
  六月の夜風のいろの旅衣

                                     (高田正子)

                            ♪
                            ♪

 
[PR]

by shinyurikara | 2013-08-18 18:05 | 故きを温ね