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てくてく武蔵野(9)明治神宮

2014年1月22日(水)。
20日にスローなスタートを切った今年ですが、2度目の吟行は神宮の杜へ。
夜来の雨は朝までに上がり、うらうらと晴れた朝。暖かな一日になりそうです。

20日過ぎの初詣、と考えればのろま感が否めませんが、
せっかくの神宮なので、新年のお詣り気分は味わっておきたいですし、
あいにく(?)暖かですが、大寒のさなかでもありますし、
寒中の気分にもひたっておきたいところです。

虚子ご一行が武蔵野探勝で神宮へ詣ったのは昭和13年1月2日。
「戦勝の目出度いお正月……」の書き出しで、赤星水竹居がレポートしています。
その日も「元日に降つた雨も綺麗に晴れ渡つて」「まぶしき程の冬日が照りかゞやいて」いた模様。

  お降りともう呼べぬ雨上がりけり   正子
  神宮の杜匂ひだす冬日かな   

一の鳥居をくぐり、杜の懐へ入ります。
おそらく80年前はもっと樹間もすいて、丈低く、見通しが利いていたに違いありません。
今はしんしんと冷えていく感じ、と思いつつ進んでいきますと……。

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ワインの樽がこんなに!
フランスから贈られたもののようです。
「鶴ヶ峰」では酒の神がまたがっていましたが、ここでまたお目にかかろうとは。

参道を挟んで反対側には清酒の樽が。

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こちらは目に親しい光景とも言えましょう。

二の鳥居は木造の大鳥居です。
現在の鳥居は2代目で、虚子らがくぐったものとは異なります。

  二の鳥居すつかり冷えてくぐりけり   正子

お詣りの前に、御苑へ。
小径が日溜まりの広場へと開け、ほっとして池の傍に寄りますと、
なんと池の向こう半分は厚い氷に覆われていました。

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日向ぼこに適う木のベンチもあって、しばらく静かな光に浸りました。

  氷見るためのベンチとなりゐたり   正子
  かはせみは氷の池を棲処とし

そうそう、去年の夏以来、すっかり親しい存在となった翡翠ですが、
今日も目の前を何往復もして、碧い光を閃かしてくれました。

奥の菖蒲田では、
落葉を除き、枯れた株を葉の一筋ずつを掻いて整える作業が、今まさに進行中でした。
丁寧に一株ずつ仕上げて、地を這うように移動していきます。
園丁の位置を境に、向こうとこちらとではまるで景色が違うのです。
見事な花が咲くわけです……。
こうべを深く垂れました。

  菖蒲田に春待つ仕事果てしなく   正子

御本殿の廻廊には、小中学生の選りすぐりの吉書が貼り巡らされていました。
筆勢強く、頼もしく。
怠けたおとなの目には眩しすぎるほどでした。

  どの吉書にも青雲のこころざし   正子

                                (高田正子)

                   ♪
                   ♪


  
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by shinyurikara | 2014-01-27 21:44 | てくてく武蔵野  

故きを温ね(21)木場

樹氷、ではありません。

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氷柱のようです。

2014年初吟行で、木場公園へやってきました。
1月20日(月)大寒。
年が改まってすでに半月以上の、スローなスタートです。
思いの外ぬくい、と思いながら歩いていましたが、思いがけないところに初氷柱発見。

通りがかりの人が、

  いつもこの木だけにできるんですよ。
  去年の雪の日なんて、すごく綺麗でしたよ。

と教えてくれました。

  ことごとく氷柱となつて滴りぬ  正子

耳を澄ましていると、かそけき音がしています。少し風があるのかもしれません。
あ、鵯!
何をしにきたのでしょう。
ああ、がさがさしないで。
ほら、いっせいに氷柱が降ってきました……。

木場はその名の通り、かつては木材を扱う町でした。
現在その役割は新木場に移り、貯木場であったところにこの公園ができたというわけです。

広い広い公園です。
聞けば、地下は大江戸線の車庫になっているのだとか。

アップダウンの激しい土地に住み、
目の端には必ず丘や山が入り込んでいる日常を送る私にとって、
このひたすら平らな感じは何か不安ですらあります。
平らな地面にお椀のようにかぶさった空も、一度にどさーっと崩れて来そう……、
なんて杞憂を抱いていたわけではありません。
が、心のどこかにそんな砕片を抱いていたのかなあ、と思わないでもありません。

  大寒のなほ定まらぬ空模様   正子

公園のまん中あたりを東西に貫く仙台堀川、
東側に沿って南北に流れ、その先で西に大きく曲がる大横川は運河です。
今は材木を浮かべることもなく、昏い、けれども思っていた以上に透き通った水を湛えています。

すでに昼近く。
雲が増えたり減ったりしていた空は、すっかり青空となり、日が濃くなってきました。
さざ波すら立たない水面を見つめていると、
なにか一辺の極度に長い直方体、たとえば羊羹のようなものと向き合っている気がしてきます。

鴨が一羽、長い水尾を引いて音も無く滑っていきました。

  大寒の水の押し合ふ運河かな  正子

                              (高田正子)

                ♪
                ♪

  

  
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by shinyurikara | 2014-01-22 22:16 | 故きを温ね