故きを温ね(10)祇園御霊会〈4〉京の町
2012年 08月 23日
2012年7月14日(土)、貴船から戻った京の町は灯の入り花。
鉾町の夜の灯色となりにけり 正子
これは北観音山の駒形提灯。
観音山には北と南があります。
そういえば1年目の夜は、南観音山の日和神楽について歩いたのでした。
翌日の巡行の上首尾を祈り、囃しながら町を練り歩くのです。
むんむんする京の闇の中を辻から辻へ。
1年目の記憶はそれが鮮烈です。
私の祇園会通いは、日和神楽に始まったと言えるのかもしれません。
ひと偲ぶことに始まる鉾祭 正子
祇園会の京都通ひに年重ね
長刀鉾の上でも祇園囃子の稽古に余念がありません。
提灯の灯を絞り気味に、くりかえしくりかえし。
夜空より降る祇園会の鉦の音 正子
それにしても、宵山でもないのにすごい人です。
土曜日の人出宵々々山の 正子
翌日15日(日)は松尾大社の御田祭を見ました。
かつて吹田市に住んでいたころ、常寂光寺や寂庵で開かれていた「あんず句会」にしばしば参りましたが、嵐山行の電車の中から、いつも仰ぐだけだった大きな鳥居を、とうとうくぐったのです。
夏雲の湧きつぐ方や嵐山 正子
地(ぢ)のものをのみ奉る涼しさよ
ずつくりと汗の植女の袖袂
夕方、京の雑踏へ戻り「杉本家」を拝観しました。
伯牙山のお飾り所のほうは以前拝見しましたが、お宅のほうの敷居を跨ぐのは初めてです。
室内は蠟燭の炎の明るさです。
この明るさ(暗さ)のせいでしょうか、おのずと低い声で話す私たちでした。
なにもかも、私の日頃の暮らしには無いものばかりですが、随所に置かれた氷柱が、印象的でした。
氷柱にいにしへ人のやうに触る 正子
風見布屏風祭のくらがりに
鉾町のしきたり告ぐる京言葉
京の町はしみじみ奥が深いです。
知るのが畏しいような深さ。
故にほとぼりが醒めたころ、また行きたくなるのでしょう。
(髙田正子)
♪
♪
鉾町の夜の灯色となりにけり 正子
これは北観音山の駒形提灯。
観音山には北と南があります。
そういえば1年目の夜は、南観音山の日和神楽について歩いたのでした。
翌日の巡行の上首尾を祈り、囃しながら町を練り歩くのです。
むんむんする京の闇の中を辻から辻へ。
1年目の記憶はそれが鮮烈です。
私の祇園会通いは、日和神楽に始まったと言えるのかもしれません。
ひと偲ぶことに始まる鉾祭 正子
祇園会の京都通ひに年重ね
長刀鉾の上でも祇園囃子の稽古に余念がありません。
提灯の灯を絞り気味に、くりかえしくりかえし。
夜空より降る祇園会の鉦の音 正子
それにしても、宵山でもないのにすごい人です。
土曜日の人出宵々々山の 正子
翌日15日(日)は松尾大社の御田祭を見ました。
かつて吹田市に住んでいたころ、常寂光寺や寂庵で開かれていた「あんず句会」にしばしば参りましたが、嵐山行の電車の中から、いつも仰ぐだけだった大きな鳥居を、とうとうくぐったのです。
夏雲の湧きつぐ方や嵐山 正子
地(ぢ)のものをのみ奉る涼しさよ
ずつくりと汗の植女の袖袂
夕方、京の雑踏へ戻り「杉本家」を拝観しました。
伯牙山のお飾り所のほうは以前拝見しましたが、お宅のほうの敷居を跨ぐのは初めてです。
室内は蠟燭の炎の明るさです。
この明るさ(暗さ)のせいでしょうか、おのずと低い声で話す私たちでした。
なにもかも、私の日頃の暮らしには無いものばかりですが、随所に置かれた氷柱が、印象的でした。
氷柱にいにしへ人のやうに触る 正子
風見布屏風祭のくらがりに
鉾町のしきたり告ぐる京言葉
京の町はしみじみ奥が深いです。
知るのが畏しいような深さ。
故にほとぼりが醒めたころ、また行きたくなるのでしょう。
(髙田正子)
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by shinyurikara | 2012-08-23 13:19 | 故きを温ね